2015年10月6日
朝夕はすっかり肌寒くなり本格的に秋という感じまっしぐらな今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか?ありきたりなご挨拶から始めてみましたが、秋と言えば食欲とか読書とか言いますね。なんだかこれもありきたりな感じで「本当に?」とか若い頃は思っていたのですが、最近本当にそうだなとしみじみ思います。まあなんといってもとりわけ読書が進みますね、私の場合。移動時間などあると結構読んでたりするのですが、その他の時間ではっきり読書する時間というのは他の季節あまりない様な気がします。ただこの季節は家にいても本を読んでいる時間が多々あります。なぜかと言えば秋だからという事なのでしょうが、まあ読み進みます。最近もっぱら読んでいるのは元々好きな歴史小説なのですが、「峠」という司馬遼太郎先生の作品ですね。この作品は幕末(大好き)の越後長岡藩牧野家の家臣、河合継之介という人物が主人公の物語です。これを読むのも何度目かというくらい繰り返し幕末ものは読んでいるのですが、初めてこの作品を読んだ時はかなり衝撃的だったのを覚えています。人物の紹介や物語の内容については何か他のものに任せてしまいますが、なぜこう歴史物が好きなのかと言いますと、その人の人生から何かしらを学ぼうとしている様な気がしますね。知識として蓄える勉強(この人物にも関係していますが)とはまた違う、なにかうまくは言えませんが自分の中での答え合わせをしていくと言いますか。もちろん本だけではなく実際に生きている中で出会える人達から教えてもらえる事であったり、そういうものに目を向け時間を過ごすにはこの秋という季節はなんだか良いですね。
2015年04月16日
こう自分でも「好きだね〜」とつい言ってしまいますが、ハードボイルド小説が止まらないんですね。しかも時間が経っては同じものをまた読み返すというしつこさ。そんなところで最近また読み返したのがこの「闇先案内人」というタイトルの小説です。ご存知の方もそれは多くいらっしゃるであろうこの作品は、やはり大好きな小説家のひとり「大沢在昌」というかたの長編小説です。逃がし屋という非合法な商売をしている主人公がある事件に巻き込まれ、そして周りを巻き込んで行きながら進んで行く(詳しい内容は割愛しますが)この作品が何度読んでもおもしろい。そのスピード感たるや読む手を休ませない勢いでグイグイ引っ張られて行きます。そして内容ももちろんですが何が良いってこの「闇先案内人」というタイトルがもうすでにハードボイルドの匂いがぷんぷんするじゃないですか。僕の様な人間はそれだけでもう「ふぅ〜」とため息なんかついてしまうくらいやられてしまうのですが、ハードボイルドとはなんぞやと、面白い作品とはなんぞやと考えさせられたりもします。そんなことを考えながら読んでみたりもしますが、もうその手は止まらないというやっぱりただただ面白いですね。未読の方はぜひ。
2015年01月12日
以前に書いた「たったひとつの冴えたやり方」というジェイムズ・ティプトリー・ジュニアのSF小説を読み終えたのですが、これも以前書いた気がしますがこの表題作は「The Starry Rift」という連作中編集の3作品のなかの最初の物語で、翻訳版のタイトルなんですね。
このタイトルに惹かれて読み始めたのですが、SF小説をあまり読んでこなかったのもあり中々読み進めることが出来ず結構時間をかけて読み終えました。内容はというとリフトと呼ばれる宇宙のある星域のまわりで起こったヒューマンと呼ばれる種族の3つの物語という形で、どれも面白く読めたのですが私的には3作品目の「衝突」という物語が一番好みで楽しく読めました。ただ3編を読み終えた後に(私が読んだのは文庫版だったのですが)この作品の翻訳をされた浅倉久志さんという方のあとがきがあるのですが、それに一番衝撃を受けた様な気がします。SFファンの方には周知の事実かも知れませんが、ティプトリー・ジュニアの人生そのものと言いますかそういうものと絡めてまたこの作品を振り返らざるを得ない作りが、そのあとがきを含めてひとつの作品として完成しているような気がしました。そう思ったのは初めてかも知れませんし、久々に心から震える瞬間がそこにはありましたね。
ご興味をもたれた方はぜひご自身で体感された方が良いと思いますのでその内容についてはあまり触れませんがひとつだけ、この作品がティプトリー・ジュニアの遺作だという事、そしてなぜ翻訳版のタイトルがこれになったのかの疑問も晴れた様な気がします。
「たったひとつの冴えたやり方」…確かにそうなのかも知れません。
2014年12月7日
なんだかいいタイトルじゃないですか?このタイトル何かと言いますとご存知の方も多いでしょうが、ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアという方のSF小説のタイトルですね。確か『The starry rift』という作品集の中の一作品だった気がしますが、翻訳版がこの表題で本屋に置いてあった気がします。ただこのタイトルと言いますか言葉を私が初めて目にしたのはこの小説ではなく、チュンソフトという会社が出している「伝説の教壇に立て」というPS2のゲームでした。この教壇、立たれた方も多いかと思いますがドラマの金八先生をゲーム化したという秀逸なソフトですね。10年くらい前に発売された物で内容は割愛しますが、体調不良で入院した金八先生の代理で来た教師(主人公)が生徒や先生たちとふれあいながら色んなことを経験していくというような内容です。なぜ今さらそんなゲームの話をと自分でも思いますが、実はこの「たったひとつの冴えたやり方」の原題のほうの小説は当時このゲームが発売されて、そのタイトルを知った時に目にしただけで読んでないんですね。なんだか思い出したように最近このゲームをやってみてやはり面白かったのと、「そうだ、この小説読んでないままだ!」というのに気が付いたという…。近々購入して読んでみようと思います。たまには思い出したようにゲームもしてみる物ですね。随分前の物ですけどこの伝説の教壇について書くのも面白そうですが、それはまた別の機会に。
2013年04月9日
笹沢左保さんという作家の「真田十勇士」という作品をご存知でしょうか?これはもう大分前に一度読んだいわゆる歴史小説なのですが、なぜか最近また読み返してしまいました。真田十勇士自体は昔からあるもので、現在伝わっているこの物語はまだテレビやラジオも無かった時代に「講談師」と言われた方達が町々に訪れてしていたお話が元になっているそうです。戦国時代末期の史実をもとにした架空のお話なのですが、その時代の大勢ではない豊臣側へ敢えて加勢する真田幸村という武将のもとに一騎当千の十人集が大活躍するという、この昔の人の想像力の逞しさはいつ触れても脅威を憶えますね。何百年後かには現在生きている人達にも、もしかしたらそういった架空のお話が出来ているのかも知れませんね。
滅びの美学
今回読み返して一番思ったのがこの日本特有とも言われる「滅びの美学」についてです。もっと上手いやり方もあるのに、敢えて滅びる方へ向かっていく。自分の信念を貫くため、むしろ滅びていく事に美しさを見いだすとでも言いましょうか。それ自体には前と同じように血が騒ぐところがあったのですが、なんだかんだ周りの上手く行ってない感じにイライラを憶え「こんな形で滅びていくのは嫌だな」と今回読み返してみて単純に思ってしまいました。なぜそう思ったのか不思議な感じが自分でもしましたね。物語は何一つ変っていないのに自分に流れた時間がそう思わせたのか…。たまには以前読んだ本を読み返してみても、色々な事に気付かされて良いものだと思いました。