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鮫の息遣い

2013年01月14日

「新宿鮫」という小説を皆さんは読まれたことがありますでしょうか?「え?今さら?」と仰る方も多いと思いますが、その通り今更なのです。いわゆるハードボイルドと呼ばれるジャンルのこのシリーズは、1990年に第一作が刊行されてから、現在までに第十作が発表されていますが、作者の大沢在昌さんの作品群の中でも、文字通り代表作と呼ばれるシリーズなのだそうです。映画化されたりドラマ化もされているので、そちらでご存知の方もいらっしゃるでしょう。

元々、ハードボイルドというジャンルが好きだというのもありまして、大沢在昌さんの作品は以前から大好きでよく読んでいたのですが、なぜか新宿鮫にだけは触れずにいました。「新宿鮫」というタイトルは聞いたことがあるけど、それがお気に入りだった作家さんの作品だったとは、最近まで気付かずにいたという始末。気が付いてからも「…シリーズがたくさん出てるしな」と敬遠してきたのです。今思えば不明を恥じるばかりですね。読み始めると一気に読んでしまいました。もし未読の方がいらっしゃれば実際に読んで頂ければと思いますが、ただ面白い!!シリーズの中でも個人的に好きなのは「毒猿」というタイトルです(これは第二作目なのですが、実はこれから読み始めてしまいました)。

この「新宿鮫」の一件のおかげで、小説に限らず音楽でもそうですが、その作者の代表作といわれるものに触れるというのは大切だと改めて感じさせられました。今回は幸いな事にその他の作品を先に知っていたので、実際に触れてみるとその作者の集大成的なものも感じられ、代表作と呼ばれるのにも素直に納得がいきました。発表から20年を越え、そのクオリティを落とす事無く、むしろ上げていきながらシリーズを続けていくというその凄さと難しさ。色んな事を考えさせられながら、今このタイミングでこの作品と出会うべくして出会ったと勝手に感じてしまいます。その息遣いをずっと感じながら、まさに今食い付かれたという。まだ未読の方がいらっしゃいましたら、是非お勧め致します。

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